これまでのお客様からの質問で多かった事に1つは、「留学経験を社会でどう生かすの?」というものです。実際、留学して英語や海外経験を仕事に生かせるのか疑問に思う方もいるかと思います。
今回、インタビューしたNYさん(仮名)は、留学経験を生かし、ビジネスの中心、ニューヨークで活躍される方です。NYさんがどのような考えを持ち夢を実現していったか興味ありませんか?是非、ご覧ください。
NYさんのオフィスから見たニューヨークの景色!
●NYさんの経歴
日本の高校を卒業後、米国ボストンのマサチューセッツ州立大学に留学し、2000年卒業。
日本へ帰国し、国内 IT大手に就職する。英語をほとんど使わない出張サラリーマン生活を5年送り、その後、都内の外資IT大手に転職、飛行機を年に120回搭乗する濃厚な生活を3年送る。
30代はビジネススクールとアメリカでの就労を目標にしていた社会人8年目に、1本の電話。国内IT大手からのオファーを受け35年の住宅ローンだけを残し渡米。
2年間、ロサンゼルス支社で下積み、その実績から現在ニューヨーク本社の管理職に就任。30代前半にして、アメリカ人と日本人の従業員のプレイングマネージャーとして日々勉強中。
●インタビュー
・場所:東京・南青山
・日時:2011年7月4日
・ゲスト:NYさん
・聞き手:小松
小松:留学経験や語学を生かして、国際的な仕事をしたいと思う人達は、きっと多いと思います。NYさんも、その実現に色々ご苦労されたと思いますが、何が一番大切だと思いますか?
NYさん: 出たとこ勝負な気質なのですが、「自身でゴールを設定し、実行する事」です。
いつもゴールがあったので、一時的に見失っても、必ず再起動して、前に行動できました。
ゴルフと同じで、途中OBや池ポチャしても、カップに入れるのがゴールでしょ、気楽さが大事(笑)
今、米国でアメリカ人のクライアントも部下もいる立場にいますが、英語力という立場からすれば、私は彼らには一生かないません。英語は最低必要ですが、それ以上に、目的意識が強くないと、国籍や年齢も異なる人達をマネージできないと思います。大事なのは「ゴールの共有」です。
ドラマ24のジャックバウアーの上司みたいに、いくら部下に嫌われようが、目的を実行させる。
成功体験がその関係を強くさせる。 異文化のビジネスで結果を出すためのリードには重圧がありますが、言葉と文化を超え、「こいつの判断いけてる!」と思われると、海外で働く日本人としての憂いです(笑)
ドラマでの手段は、被害者が出ますが、私の場合は、日本式のやりかた、米式のやりかた。という手段の使い分けですけど(笑)
職場のあるニューヨーク・ミッドタウンの風景
小松:なるほど、NYさんほど目的意識の強い上司なら、仮に英語が母国語でなくても、頼りになりますね。さて、日米双方で働く経験をしているNYさんにとって、両国のビジネスで一番の違いはどこですか?
NYさん:アメリカ人の仕事を見て感じる事は、自分の仕事にプライドを持ちプロフェッショナルとしての意識が日本人より強いと思います。例えば、日本人の従業員だと、値引き交渉があると、相手との調和を第一優先を考えるあまりに、OKしようとします。しかし、アメリカ人は、自分の仕事にプライドを持ち、当然の対価として当初の価格を主張します。
アメリカには4月入社とか、新人とか、同期の桜なんてないですから(笑) いきなりプロ扱い(笑)
どちらが優れてとか劣っているという問題ではなく、これは、文化の違いだと私は考えます。お互いのメリットとデメリットはありますので。ただ、アメリカの日本法人のマネジャーとしては、双方の文化を自身が理解した上で、アメリカ人には日本の価値、日本人にはアメリカの価値を共有してオペレーションを円滑にする努力は必要だと感じます。この文化や価値観の違いは、私が10代、20代でアメリカの大学で学んだ時に、アメリカ人の友人から学んだ事が大きかったと、今思います。
最近、アメリカで生活して感じるのは、この違いは、子供の頃の教育によって作り出されているとも思います。
小松:確かに、子供の時に親から教わる事って大きいですよね。お子さんをアメリカで育てられているNYさんにしてみると、どんな時にそれを感じますか?
NYさん:先日、アメリカのリトルリーグの練習を見に行きました。そうしたら、いきなりボール、バット、グローブと必要な物を与えられ、軽いウォームアップ後、プレーを始めます。そしてとくかく褒める。
日本は、まずボール拾い、素振り、その次ノック、試合などまだまだ。というのが定番です。
アメリカでは、実践を通じ、プレーの喜びを教えていくのだと思います。日本は、実践の前に、人としての礼儀を教え、それができたら勝負事に入っていいというやり方でしょう。